ドコモ光の通信速度はベストエフォート
ドコモ光は通信速度最大1Gbpsの光インターネットサービスになります。
しかし、ドコモ光の1Gbpsは「ベストエフォート」と呼ばれる数値の事で、あくまでも技術規格上の最大値であり、実測値を示すものではありません。
実際に、ドコモ光の利用者で1Gbpsの通信速度を計測した人は、まず居ません。
「そんなの詐欺ではないのか!?」と思わず叫ばれた方もいらっしゃるかと思いますが、顧客に対して通信規格上の最大通信速度のみを広告した場合は、信義則に反するだけでなく、不当景品類および不当表示防止法で禁止されている「優良誤認表示」に該当し違法行為となります。
ところが、通信規格上の最大値であり、提供可能な実測値ではない事を注意喚起すれば問題ないという事になっています。
NTTドコモウェブサイト内、ドコモ光の掲載ページには通信速度についての注意事項として
ドコモ光は、ベストエフォート型サービスです。
最大速度1Gbpsは技術規格上の最大値であり、実際の通信速度を示すものではありません。
インターネットご利用時の通信速度は、お客様のご利用環境や回線の混雑状況、ご利用時間帯によって、大幅に低下する場合があります。
※マンションにお住まいの方については、当該建物の伝送方式によって最大100Mbps(技術規格上の最大値)でのご提供となります。
また、ドコモ光ミニをご契約の場合、最大100Mbpsでのご提供となります。
との記載があり、注意喚起がなされています。
これがベストエフォート(best effort)であり、日本語に訳すと「最大限の努力をします」という意味となります。
それがなぜか通信業界では
「表示している通信速度やサービスの品質に関して保証は出来ません。なるべく、その内容に近づくように努力します」
という意味になってしまうのです。
それでは、ドコモ光は実際には通信速度が遅くて、快適なインターネット生活を送るのに適していないのでしょうか。
ここでは、ドコモ光の通信速度を最大限に引き出す方法と、通信速度が遅いと感じた場合の原因と改善方法を分かりやすく説明していきます。
ドコモ光を利用中の方も、ドコモ光を検討中の方も、最後まで目を通して、快適なインターネット生活を送る参考にしてください。
ドコモ光の通信速度の実測値
通信速度最大1Gbpsのドコモ光ですが、実際にはどれくらいの通信速度がでているのでしょうか。
ブロードバンド通信速度測定サイトで有名な「RBB SPEED TEST」の光コラボプラン別平均値TOP10を参考に見てみましょう。
ドコモ光の計測数は1ヵ月で2,278件あり、平均値は130.2Mbpsとなっています。
光コラボレーションは、NTT東日本・西日本が提供するフレッツ光の回線網を利用していて、どこの光コラボレーション事業者で契約しても最大通信速度は1Gbpsです。
1Gbpsのインターネット回線といっても、実際には平均で100Mbpsから240Mbps程度の通信速度しか出ないという事になります。
しかし、高画質の配信動画を視聴する場合でも5Mbpsもあれば快適に視聴する事が出来ます。
ドコモ光はシェアドアクセス方式
ドコモ光の通信速度は最大1Gbpsですが、実測値で1Gbpsを計測する事はまずあり得ません。
ドコモ光を始めとした一般的なインターネット回線はシェアドアクセス方式でサービス提供されています。
シェアドアクセス方式とは、通信局舎と加入者宅を繋ぐ光ファイバーの途中に光スプリッタを設置し伝送路を2~32本に分岐して加入者宅に接続する方式の事です。
フレッツ網は、規格上「最大1.25Gbps」という通信速度を、NTT局舎にある局内スプリッタで4分岐、さらに局外スプリッタで8分岐、つまり最大32本に分岐された光ファイバーを加入者宅で共有している為、理論上でも1.25Gbps÷32≒39Mbps程度の通信速度しか確保できない可能性があります。
1対多数で接続する「シェアドアクセス方式」に対して、通信局舎と加入者宅を1対1で接続する方式を「シングルスター方式」と言います。
シングルスター方式は、規格上の通信速度に近い実測値を計測する事出来ますが、運用コストが高く、個人で加入出来るようなサービスではありません。
ドコモ光の通信速度が遅い原因と改善方法
ドコモ光の1Gbpsは技術規格上の最大値であり、シェアドアクセス方式である以上は実測値で1Gbpsを計測するのは現実味がありません。
それでも、ドコモ光を利用していて通信速度が遅いと感じる方や、平均通信速度が100Mbpsも出ていない方は、利用環境に問題を抱えている可能性があります。
せっかく通信速度最大1Gbpsの光インターネットサービスに加入したのですから、利用環境を見直してドコモ光のポテンシャルを十分に発揮出来る環境を整えましょう。
LANポート規格が1000BASE-Tに未対応
ドコモ光がが1Gbpsの高速回線でも、お使いのパソコンのスペックが低ければ宝の持ち腐れになってしまいます。
ルーターとパソコンを有線接続する場合、パソコンのLANポートが「1000BASE-T」に対応している必要があります。
一般的な家庭用パソコンは「10BASE-T」、「100BASE-TX」、「1000BASE-T」の3つのイーサネット規格に対応していますが、古いパソコンの場合は「1000BASE-T」に対応していない事があります。
10BASE-Tの最大伝送速度は10Mbps、100BASE-TXの最大伝送速度は100Mbps、1000BASE-Tの最大伝送速度は1000Mbpsになります。
LANポート規格を調べる方法(Windows10)
- タスクバーで「スタート/Windows」ボタンの横にある検索ボックスに「デバイスマネージャー」と入力し、結果の一覧から「デバイスマネージャー」を選択します。
- デバイスマネージャーで「ネットワークアダプター」を選択し、表示されたLAN機器の名称を確認します。
- Realtek PCIe GBE Family Controller
- Broadcom NetLink(TM) Gigabit Ethernet
- Intel(R) PRO/1000 PM NetWork Connection
- Intel(R) PRO/1000 PL NetWork Connection
- Marvell Yukon 88E8055 PCI-E Gigabit Ethernet Controller
- Qualcomm Atheros AR8161 PCI-E Gigabit Ethernet Controller(NDIS 6.30)
などの名称が有れば1000BASE-Tに対応しています。
LANポート規格を調べる方法(Mac)
- 画面左上にある「リンゴマーク」をクリックします。
- 「このMacについて」を選択し、「サポート」タブの中にある「技術仕様」をクリックします。
- 表示された使用中のMacの技術仕様ページ内に「ギガビットEthernetポート」の表記があるか確認します。
「ギガビットEthernetポート」の表記があれば1Gbpsの通信速度に対応しています。
LANポートが1Gbpsの高速通信に対応していない場合の改善方法
- パソコンを買い替える
- LANポートを交換する
- 有線LANアダプタ(高速LANポート)を外付けする
1000BASE-TのLANポートが搭載されていないという事は、旧型のパソコンである可能性が高いので新しいパソコンの購入が可能であれば、パソコンの買い替えをおすすめします。
LANポートの交換は、パソコンを分解する必要があり、改造行為に該当しパソコン本体のメーカー保証が受けられなくなるので、専門的な知識がない方にはおすすめ出来ません。
有線LANアダプタは2,000円程度で購入可能で、パソコンのUSB端子に接続するだけで1000BASE-Tに対応出来るようになるので、専門的な知識がない方でも安心して利用出来ます。
LANケーブル規格がCAT5以下
ルーターとパソコンを有線接続する場合は、LANケーブルを使用します。
LANケーブルは、通信速度や周波数ごとに「カテゴリ」と呼ばれる規格で分けられています。
古いLANケーブルを使い回していた場合、1Gbpsの通信速度に対応していない可能性があります。
1Gbps対応のLANケーブルは
- CAT5e(カテゴリ5e)
- CAT6(カテゴリ6)
- CAT6A(カテゴリ6A)
- CAT7(カテゴリ7)
になります。
お使いのLANケーブルがCAT5(カテゴリ5)以下だった場合、1Gbpsの通信速度に対応していません。
1Gbps対応のLANケーブルは数百円で購入可能なので、カテゴリ5以下のLANケーブルを使用されている方はカテゴリ5e以上のLANケーブルへの買い替えをおすすめします。
無線LAN規格がIEEE802.11n/acに未対応
ノートパソコン、スマートフォン、タブレット端末、iPhone、iPad、ゲーム機器などを利用する場合、無線LANで接続する事が多くなります。
無線LANは、周波数の帯域や特徴の違いから5つの規格が採用されています。
無線LAN規格 | 伝送速度(最大) | 周波数帯 |
---|---|---|
IEEE802.11a | 54Mbps | 5GHz |
IEEE802.11b | 11Mbps | 2.4GHz |
IEEE802.11g | 54Mbps | 2.4GHz |
IEEE802.11n | 600Mbps | 2.4GHz/5GHz |
IEEE802.11ac | 6933Mbps | 5GHz |
「IEEE802.11b」や「IEEE802.11g」が1つのアンテナで1つのデータを送受信するのに対して、「IEEE802.11ac」や「IEEE802.11n」は、送信機と受信機の双方で複数のアンテナを使い、通信品質を向上させるスマートアンテナ技術「MIMO(Multiple Input Multiple Output)」を採用しています。
そのため、無線LAN親機に搭載するアンテナの本数によって製品の最高速度が決まります。
- アンテナ1本の製品、「IEEE802.11ac」が433.3Mbps、「IEEE802.11n」は150Mbps
- アンテナ2本の製品、「IEEE802.11ac」が867Mbps、「IEEE802.11n」は300Mbps
- アンテナ3本の製品、「IEEE802.11ac」が1300Mbps、「IEEE802.11n」は450Mbps
- アンテナ4本の製品、「IEEE802.11ac」が1733Mbps、「IEEE802.11n」は600Mbps
となります。
一般消費者向けに販売されている無線LAN親機は、アンテナ4本の製品が最大です。
お使いの無線LAN親機、または無線LAN子機(ノートパソコン、スマートフォン、タブレットなど)が通信規格「IEEE802.11n/ac」に対応していない場合は、どんなにインターネット回線の通信速度が早くても最大で54Mbpsの伝送速度しか出せません。
また、安価な無線LAN親機はアンテナの本数が1本や2本しか搭載されていない場合があり、「IEEE802.11n/ac」に対応していても1Gbpsという高速通信を生かす事が出来ません。
「IEEE802.11a/b/g/n/ac」に対応していてアンテナが2本の製品が4,000円程度、アンテナ4本の製品が9,000円程度となります。
「IEEE802.11ac」は2014年1月に策定されたため、それ以前に製造された製品は基本的には「IEEE802.11a/b/g/n」にしか対応していません。
お使いの無線LAN親機や無線LAN子機が古い場合は、買い替えを検討してみてはいかがでしょうか。
IPv6 IPoE+IPv4 over IPv6接続に未対応
通信端末や周辺機器に通信速度が遅くなる原因が見当たらない場合、インターネット回線に通信速度が遅くなる原因がある可能性が高くなります。
インターネット回線に原因がある場合、特に多いのが契約しているプロバイダの混雑による通信速度の低下です。
一般的なプロバイダはNTTの網終端装置とプロバイダの設備を接続するPOIでアクセスが集中すると混雑し、通信速度が遅くなります。
一方で、v6プラスを代表とするIPv6 IPoE+IPv4 over IPv6接続は混雑するポイントがなく、時間帯にかかわらず快適な通信が可能となります。
それでは、通信速度が遅い原因がプロバイダにあるのかどうか調べるにはどのようにすればいいのでしょうか。
- STEP1.NTTサービス情報サイトで回線速度を計測する
NTT東日本、NTT西日本では、利用者専用のサービス情報サイトが用意されており、サイト内に速度測定サイトが設置されています。
フレッツ速度測定サイトで計測する事によりパソコンからプロバイダを経由しないサービス情報サイトまでの通信速度を確認する事が出来ます。
【フレッツ速度測定(IPv6)サイト】
・NTT東日本 サービス情報サイト
・NTT西日本 サービス情報サイト
- STEP2.一般の回線速度・通信速度測定サイトで計測する
続いては、一般的な測定サイトで計測します。
こちらは、パソコンからプロバイダを経由した速度測定サイトまでの通信速度を確認する事が出来ます。
・RBB SPEED TEST 回線速度・通信速度測定サイト
・BNR スピードテスト 回線速度/通信速度 測定
・Speedtest by Ookla - The Global Broadband Speed Test
- STEP3.計測結果を比較する
フレッツ速度測定サイトと一般的な回線速度・通信速度測定サイトの測定結果を比較します。
フレッツ速度測定サイトの測定結果よりも一般的な回線速度・通信速度測定サイトの測定結果の方が明らかに遅い場合は、通信速度が遅い原因はプロバイダにあります。
契約しているプロバイダはv6プラスを代表とするIPv6 IPoE+IPv4 over IPv6接続に対応していますか!?
対応していない場合は、事務手数料3,000円でプロバイダの変更が出来るので、IPv6 IPoE+IPv4 over IPv6接続に対応しているプロバイダへの変更をおすすめします。
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