無線LANルーター(Wi-Fiルーター)の選び方
自宅や職場などでスマートフォンやタブレット、ノートパソコンをワイヤレスでインターネットに接続するには無線LANルーター(Wi-Fiルーター)は必要不可欠な存在です。
しかし、いざ無線LANルーターの購入を検討すると国内外の様々なメーカーから何種類もの無線LANルーターが販売されており、何を基準に選べばいいのか悩んでしまいます。
ここでは、家庭向け(マンション/戸建住宅)の無線LANルーターの選び方について、分かりやすく説明していきます。
基礎知識を身に付けて、利用環境に合った最適な無線LANルーターを見付ける際の参考にしてください。
無線LANルーターの基礎知識
無線LANルーターの選び方を説明する前に、無線LANルーターの基礎知識を軽く触れていきたいと思います。
無線LANルーターとは!?
無線LANルーターは、スマートフォンやタブレット、パソコンなどのWi-Fi対応機器をワイヤレスでインターネットに接続する役目を果たします。
無線LANルーター以外にも、Wi-Fiルーターや無線LAN親機とも呼ばれています。
一般的なインターネット回線で通信事業者から提供されるモデム・VDSL装置・ONUでは、1台の機器をLANケーブルで接続する事しか出来ません。
複数の機器をLANケーブルで接続したり、スマートフォンやタブレットをWi-Fiで接続したりするには無線LANルーターが必要になります。
LANケーブルで接続する場合は、家の中に配線が張り巡らされてケーブルが邪魔になりますが、無線LANで接続する場合は、配線が不要なので家の中のどこにいてもインターネットを利用する事が出来ます。
無線LANのメリット
無線LANで接続する事により、配線が不要となり、見た目がすっきりだけでなくケーブルに引っ掛かって転倒するなどの事故の防止にもつながります。
さらに、AndroidやiPhoneなどのスマートフォンをご利用の方は、通信量を気にしないでYouTubeやHuluなどの動画配信サービスを利用する事が出来ます。
3GまたはLTEには、3GBや7GBといった通信量制限があり、月間で通信量の上限を超えてしまうと通信速度が128kbpsに制限され動画視聴はもちろんWebページの閲覧ですらスムーズに行えなくなる程に遅くなります。
しかし、無線LANで接続すると通信量制限は関係なくなり、好きなだけ動画配信サービスや大容量ファイルのやり取り、オンラインゲームを楽しめます。
LANとWANの違い
「LAN」というのは「Local Area Network」の略称であり、直訳すると「同一の敷地や建物内等に構築されたネットワーク」、具体的には研究機関や企業のオフィスや学校の中など限られた地域で複数のコンピューターを通信回線で接続し、相互にデータを伝送または共有するネットワークの事になります。
LAN以外にも、ローカルエリアネットワークや構内情報通信網とも呼ばれています。
一方で、地域や地方を跨いで構築されるネットワークの事を広域ネットワークを意味するワイルドエリアネットワーク「WAN」と言います。
「WAN」というのは「Wide Area Network」の略称であり、LANとLANをつないだ大きなネットワークの事になります。
インターネットもWANのひとつで、世界中のコンピューター同士が蜘蛛の巣のようにつながった大きなネットワークになります。
無線LANルーターの背面に「LAN」と「WAN」と記載された差込口がありますが、「LAN」と記載された差込口には、パソコンやプリンター、デジタル機器を接続します。
家庭内でパソコンやプリンターを「LAN」で接続したネットワークの事を「家庭内LAN」と呼びます。
「WAN」と記載された差込口には、LANとWAN(インターネット)につなぐ役目を果たすインターネット回線事業者が設置した機器(モデム、VDSL装置、ONU)に接続します。
無線LANとは!?
無線LANとは、無線通信を利用してデータを送受信するLANシステムの事になります。
ワイヤレスLAN(Wireless LAN)、または略してWLANとも呼びます。
無線LANの構築には「親機」と「子機」が必要になります。
親機は、無線LANルーターの事を指します。
子機は、親機と電波通信する機器の事で、スマートフォンやタブレット、パソコンには子機が内蔵されている事が多く、親機となる無線LANルーターを用意すれば無線LANを利用する事が出来ます。
無線LANとWi-Fiの違い
スマートフォンやiPhoneでワイヤレスネットワークで接続する場合、「Wi-Fiで接続する」と言いませんか!?
実際に、通信機器のネットワークの設定項目も「Wi-Fi」になっている事が多いです。
それでは、無線LANとWi-Fiは何が違うのでしょうか。
無線LAN機器が商品化され市場に出回り始めた1990年代前半は、IEEE規格の曖昧さや相互接続認証試験がない事から、異なるメーカーの製品での接続性が保障されておらず、購入した無線LAN製品が利用出来ないという問題がしばしば発生していました。
そこで1999年に国際標準規格である「IEEE 802.11」という通信規格を採用した無線LAN機器を製造するメーカーの業界団体がWireless Ethernet Compatibility Alliance(WEAC)という非営利団体を結成し、相互接続性試験の確立および「Wi-Fi CERTIFIDE」というブランドを作りました。
同じ周波数帯で動作する他のWi-Fi CERTIFIED機器との相互運用性が認められた製品はWi-Fi認証されるようになり、認定された製品は登録商標であるWi-Fiロゴを使用する権利が与えられ、無線LANが相互接続出来る組み合わせが一目で分かるようになり、Wi-Fiの認知度が高まりました。
認知度の高まりに伴い、Wireless Ethernet Compatibility Alliance(WEAC)は2002年10月に団体名をWi-Fi Allianceに変更しました。
「無線LAN」と「Wi-Fi」の違いは、Wi-Fi認証を受けているかどうかです。
現在では、市販されている無線LAN機器のほとんどがWi-Fi認証を受けており、無線LANをWi-Fiと呼ぶことが多くなっています。
厳密には意味が異なりますが、日常生活では同義と考えて問題ありません。
無線LANルーターを選ぶ際のポイント
無線LANルーターの基礎知識に軽く触れたところで、実際に無線LANルーターを選ぶ際に注目すべき4つのポイントを説明していきます。
6つの無線LAN規格
無線LANには、周波数の帯域や特徴の違いから
- IEEE802.11a(アイトリプルイー はちまるにぃ てん いちいち エー)
- IEEE802.11b(アイトリプルイー はちまるにぃ てん いちいち ビー)
- IEEE802.11g(アイトリプルイー はちまるにぃ てん いちいち ジー)
- IEEE802.11n(アイトリプルイー はちまるにぃ てん いちいち エヌ)
- IEEE802.11ac(アイトリプルイー はちまるにぃ てん いちいち エーシー)
- IEEE802.11ad(アイトリプルイー はちまるにぃ てん いちいち エーディー)
6つの伝送規格が利用されています。
長くて読みにくい事から末尾の11a、11b、11g、11n、11ac、11adの部分に注目して「イレブン・エー」、「イレブン・ビー」とも呼ばれています。
6つの規格は、周波数帯や最大通信速度などの特徴が異なります。
無線LAN規格 | 通信速度(最大) | 周波数帯 |
---|---|---|
IEEE802.11a | 54Mbps | 5GHz帯 |
IEEE802.11b | 11Mbps | 2.4GHz帯 |
IEEE802.11g | 54Mbps | 2.4GHz帯 |
IEEE802.11n | 600Mbps | 2.4GHz帯/5GHz帯 |
IEEE802.11ac | 6.9Gbps | 5GHz帯 |
IEEE802.11ad | 6.7Gbps | 60GHz帯 |
2.4GHz帯は、対応している機器が多く、壁や天井などの遮蔽物に強くて電波が遠くまで届きやすくなっているのが特徴です。
屋内だけでなく屋外での利用も法律で認められています。
ただし、電子レンジ、Bluetooth、無線キーボードやマウスなどでも同じ周波数帯が使用されている為、電波干渉を招きやすくなっています。
電波干渉が起こると通信速度の低下や接続できないなどのトラブルにつながります。
5GHz帯は、無線LAN以外では使用されることがない為、電波干渉が起こりにくく安定した無線通信が可能となります。
壁や天井などの遮蔽物に弱く、親機と子機が別室にあると通信が弱くなりやすいというデメリットがあります。
屋外での利用は法律上認められていないので、屋内での利用に限られています。
60GHz帯は、電波の直進性が強く、近距離での高速通信が実現可能となります。
壁や天井などの障害物には弱く、隣室での利用や長距離通信には向いていません。
アンテナの本数と通信速度
無線LANの通信規格である「IEEE802.11n」や「IEEE802.11ac」、「IEEE802.11ad」は、搭載されているアンテナの本数によって最大通信速度が決まります。
また、通信規格によって搭載できるアンテナの本数も異なる為、通信速度で無線LANルーターを選ぶ際には注意が必要になります。
11n規格 | 11ac技術 | 11ac規格 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
帯域幅 | 20MHz | 40MHz | 80MHz | 160MHz | ||
変調方式 | 64QAM | 256QAM | ||||
アンテナ本数 | 1×1 | 72.2Mbps | 150.0Mbps | 200.0Mbps | 433.3Mbps | 866.7Mbps |
2×2 | 144.4Mbps | 300.0Mbps | 400.0Mbps | 866.7Mbps | 1733.3Mbps | |
3×3 | 216.7Mbps | 450.0Mbps | 600.0Mbps | 1300.0Mbps | 2340.0Mbps | |
4×4 | 288.9Mbps | 600.0Mbps | 800.0Mbps | 1733.0Mbps | 3466.7Mbps | |
8×8 | - | - | 1600.0Mbps | 3466.7Mbps | 6933.3Mbps |
「IEEE802.11n」では最大4本、「IEEE802.11ac」では最大8本のアンテナで通信が可能となります。
搭載されているアンテナの本数は1本なら「1×1」、2本なら「2×2」といったように、送信・受信できる通信数で表現されます。
- アンテナ1本の製品、「IEEE802.11ac」が433.3Mbps、「IEEE802.11n」が150Mbps
- アンテナ2本の製品、「IEEE802.11ac」が866.7Mbps、「IEEE802.11n」が300Mbps
- アンテナ3本の製品、「IEEE802.11ac」が1300Mbps、「IEEE802.11n」が450Mbps
- アンテナ4本の製品、「IEEE802.11ac」が1733Mbps、「IEEE802.11n」が600Mbps
となります。
ただし、「IEEE802.11n」は変調方式が256QAMに対応している場合、アンテナ1本:200Mbps、アンテナ2本:400Mbps、アンテナ3本:600Mbps、アンテナ4本:800Mbpsでの通信が可能となります。
間取りと利用人数の目安
ワンルームマンションでひとり暮らしの場合と戸建住宅で家族4人暮らしの場合では、家の広さも利用人数も違うので、必然と最適な無線LANルーターも変わってきます。
多くのメーカーでは、「戸建:3階建、マンション:4LDK」「戸建:2階建、マンション:3LDK」などの間取りや、利用人数、Wi-Fi接続台数の目安が提示されています。
対応する間取りが広くなったり、利用人数が多くなるほど、高性能な無線LANルーターが必要になります。
無線LANルーターが高性能になるほど、搭載されているアンテナの本数が増え、高速通信に対応しますが、性能に比例して価格も上がっていきます。
MU-MIMOとビームフォーミング対応
「IEEE802.11ac」の技術革新の中でも特徴的なのが、MU-MIMO(マルチユーザーMIMO)と呼ばれる同時通信の技術になります。
「IEEE802.11n」で採用されていた従来のSU-MIMO(シングルユーザーMIMO)は、送信側と受信側の端末が1対1で通信を行っていたので、複数の子機が同時に通信を使用とした際には親機から順番に電波を送信していたため、待機時間が発生し、通信速度の低下につながっていました。
MU-MIMOでは、複数の端末に同時に電波を送信出来るため、1対多で通信を行え、通信速度を落とさずに安定した通信が可能となります。
ビームフォーミングとは、電波を受信するスマートフォンやタブレットなど、子機の位置を自動で判別し、電波を最適な形で届ける技術になります。
従来の無線LANルーターでは距離や障害物によって電波に無駄があった為、本来のデータ処理能力を発揮出来ていませんでした。
ビームフォーミングに対応する無線LANルーターを利用する事により、転送速度や安定性が向上します。
IPv6 IPoE+IPv4 over IPv6接続対応機種
フレッツ光や光コラボレーションを利用されていて通信速度にこだわる方は、一度はv6プラスというキーワードを聞いたことがあるのではないでしょうか。
フレッツ網の通信速度は最大1Gbpsですが、1Gbpsというのは技術規格上の最大値であり、実際の通信速度は利用環境、回線の混雑状況、利用時間帯によって大幅に低下します。
v6プラスを始めとしたIPv6 IPoE+IPv4 over IPv6接続に対応したプロバイダと契約する事により、回線が混雑するポイントがなくなり、昼夜問わずに快適な通信が可能となります。
しかし、IPv6 IPoE+IPv4 over IPv6接続に対応したプロバイダと契約しても無線LANルーターが対応していなければ意味がありません。
BUFFALO
【WTR-M2133HP】
間取り目安:戸建3階建、マンション4LDK |
【WXR-2533DHP2】
間取り目安:戸建3階建、マンション4LDK |
【WXR-2533DHP】
間取り目安:戸建3階建、マンション4LDK |
【WXR-1900DHP3】
間取り目安:戸建3階建、マンション4LDK |
【WXR-1901DHP3】
間取り目安:戸建3階建、マンション4LDK |
【WXR-1900DHP2】
間取り目安:戸建3階建、マンション4LDK |
【WXR-1900DHP】
間取り目安:戸建3階建、マンション4LDK |
【WXR-1750DHP2】
間取り目安:戸建3階建、マンション4LDK |
【WXR-1751DHP2】
間取り目安:戸建3階建、マンション4LDK |
【WXR-1750DHP】
間取り目安:戸建3階建、マンション4LDK |
NEC
【Aterm WG2600HP3】
間取り目安:戸建3階建、マンション4LDK |
【Aterm WG1900HP2】
間取り目安:戸建3階建、マンション4LDK |
【Aterm WG1200HP3】
間取り目安:戸建3階建、マンション4LDK |
I・O DATE
【WN-AX2033GR2】
間取り目安:戸建3階建、マンション4LDK |
【WN-AX2033GR】
間取り目安:戸建3階建、マンション4LDK |
【WN-AX1167GR2】
間取り目安:戸建3階建、マンション4LDK |
【WN-AX1167GR】
間取り目安:戸建3階建、マンション4LDK |
【WN-AX1167GR/V6】
間取り目安:戸建3階建、マンション4LDK |
ELECOM
【WRC-1750GSV】
間取り目安:戸建3階建、マンション4LDK |
【WRC-1167GST2】
間取り目安:戸建3階建、マンション4LDK |
まとめ
無線LANルーターの選び方のポイントは
- 通信規格「IEEE802.11ac」対応モデルを選ぶ
- 戸建住宅やファミリー向けのマンションにお住まいの方はアンテナ3本以上のモデルを選ぶ
- 家族で同時利用する機会が多い場合はMU-MIMO対応モデルを選ぶ
- v6プラス対応プロバイダと契約している方はIPv6 IPoE+IPv4 over IPv6接続対応モデルを選ぶ
になります。
メーカーが提示している推奨利用環境を目安に選べば、まず失敗する事はありません。