適切なLANケーブルを使っていますか!?
高速インターネット回線と契約して、無線LAN規格「IEEE802.11ac」に対応する無線LAN親機を用意して、快適なインターネット生活を送る準備が整ったと思っている方はいませんか?
ONU(光回線終端装置)からルーターや無線LAN親機、ルーターや無線LAN親機からパソコンなどの端末を繋ぐのに、LANケーブルと呼ばれる配線を使用します。
LANケーブルには種類があり、古いLANケーブルを使いまわしていたり、通信環境に合わないLANケーブルを使っていると通信速度が低下する原因となり、せっかく契約した高速インターネット回線のポテンシャルを十分に生かせません。
ここでは、正しいLANケーブルの選び方を目的別に詳しくご説明していきます。
現状の通信速度に満足されていない方は、是非とも最後まで目を通してください。
LANケーブルの選び方
インターネット回線や無線LAN親機に種類があるように、LANケーブルにも種類があります。
LANケーブルの種類がよく分からず、値段だけを見て一番安いのものを購入した経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
LANケーブルの選び方には4つのポイントがあります。
1.通信速度で選ぶ
2.長さで選ぶ
3.形状で選ぶ
4.素材で選ぶ
このポイントさえ抑えて選べば、LANケーブルが原因で通信速度が低下する事を避けられます。
通信速度で選ぶ
LANケーブルを選ぶ基準の1つ目は通信速度です。
LANケーブルは、通信速度や周波数ごとに「カテゴリ」と呼ばれる規格で分けられています。
カテゴリの数字が大きいほど通信速度が速くなり、周波数も高くなります。
周波数が高くなると、伝送できる情報量が多くなり、データエラーを起こしにくくなります。
これだけを聞くと、カテゴリの数字が大きいLANケーブルを購入すればいいように思えてしまいますが、デメリットもあります。
カテゴリの数字の大きさに比例して、LANケーブルの価格も上がっていきます。
LANケーブルを選ぶ際には、ただ、数字が大きいものを選ぶのではなく、どのくらいの通信速度が必要なのかを基準にして選びます。
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CAT7A |
CAT7 |
CAT6A |
CAT6 |
CAT5e |
CAT5 |
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通信速度 |
10Gbps |
10Gbps |
10Gbps |
1Gbps |
1Gbps |
100Mbps |
伝送帯域 |
1,000MHz |
600MHz |
500MHz |
250MHz |
100MHz |
100MHz |
適合する イーサネット 規格 |
10BASE-T 100BASE-TX 1000BASE-T 1000BASE-TX 10GBASE-T |
10BASE-T 100BASE-TX 1000BASE-T 1000BASE-TX 10GBASE-T |
10BASE-T 100BASE-TX 1000BASE-T 1000BASE-TX 10GBASE-T |
10BASE-T 100BASE-TX 1000BASE-T 1000BASE-TX |
10BASE-T 100BASE-TX 1000BASE-T |
10BASE-T 100BASE-TX |
参考価格 |
0.2m:1,720円 ~ 30m:18,280円 |
0.5m:780円 ~ 10m:3,280円 |
0.5m:250円 ~ 10m:880円 |
0.5m:200円 ~ 15m:830円 |
1m:180円 ~ 15m:850円 |
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NTT東日本・西日本のフレッツ光や光コラボレーション、auひかりなどの一般的な1Gbpsのインターネット回線に適しているLANケーブルはカテゴリ5e、または、カテゴリ6になります。
カテゴリ5eと比較すると、カテゴリ6の通信速度は同じですが、周波数が2倍以上になります。
周波数が高くなると、より多くのデータが転送出来るので、動画を視聴する場合はカテゴリ6がおすすめになります。
auひかりホーム10ギガ、NURO光10Gなどの10Gbpsのインターネット回線には、カテゴリ6A以上が適しています。
わずかな遅延が命取りとなるオンラインゲームには、カテゴリ7のLANケーブルが最適です。
ご自宅のインターネット回線が技術規格上の数値よりも明らかに遅い方は、LANケーブルに記載されているカテゴリを今すぐに確認してみてください。
使い回しのLANケーブルなどを使用していて、万が一カテゴリ5以下だった場合は、通信環境に適したカテゴリのLANケーブルに交換する事で、通信速度が改善される可能性があります。
長さで選ぶ
LANケーブルを選ぶ基準の2つ目は配線の長さです。
ONUや無線LAN親機からパソコンやテレビまでの距離が近ければ配線は短くなりますし、距離が離れていれば当然配線は長くなります。
配線の距離に応じて、おすすめとなるLANケーブルの種類が変わります。
LANケーブルの長さが10m以上の場合は「単線」、5m以下の場合は「より線」が適しています。
「単線」と「より線」は、LANケーブルの芯の構造の違いで呼び方が変わります。
「単線」とは、太い銅線が8芯分入っているLANケーブルの事で、8芯分入っている為にケーブルが固くて折り曲げたりして使う事は困難ですが、安定した通信が可能となります。
「より線」とは、7本の細い銅線を8芯分寄り集めて構成されたLANケーブルの事で、柔らかくて取り回しが簡単ですが、単線と比較すると安定感では劣ります。
広い場所や長い配線が必要となる場合は「単線」、狭い場所や複雑な配線が必要となる場合は「より線」のLANケーブルがおすすめとなります。
形状で選ぶ
LANケーブルを選ぶ基準の3つ目はケーブルの形状です。
一言でLANケーブルと言っても、カテゴリや長さに違いがあるだけでなく、形状にも色々な種類があります。
用途や配線する場所によって最適な形状が変わってきます。
スタンダードLANケーブル
標準的なLANケーブルになります。
外部電波と干渉しない為のシールドで保護されておらず、長距離の配線におすすめです。
極細LANケーブル
ケーブルの直径がスタンダードタイプより細いLANケーブルになります。
柔らかく取り回しが簡単なので、狭い場所や複雑な空間での配線におすすめです。
フラットLANケーブル
薄くて踏み付けに強いLANケーブルです。
カーペットの下やドアの隙間、窓際などの配線におすすめです。
巻き取りLANケーブル
持ち運びに便利な、巻き取り式のLANケーブルです。
コンパクトなので邪魔にならず、出張の際にホテルで有線接続したい場合に最適です。
コードの長さが調節出来るのでパソコン周りの整理にもおすすめです。
素材で選ぶ
LANケーブルを選ぶ基準の4つ目はケーブルの素材です。
特殊な加工を施す事により、電波の干渉やノイズに強くなったり、様々な環境下での使用に適した構造になっています。
UTPケーブル
UTPケーブルとは、シールド保護されていない通信用ケーブルの事で、家庭用やオフィスビルなど、一般的な構内LAN用ケーブルとして広く使用されています。
単純にLANケーブルと言えば、このUTPケーブルの事を指します。
UTPは、Unshielded Twist Pair(アンシールデッドツイストペア)の略称で、日本語で「非シールド撚り対線」と訳されます。
UTPケーブルは、ツイストペアケーブルとも呼ばれ、2対の電線を撚り合わせてペアにした4組で構成されています。
単なる平行線よりも、電線を撚る事により内部で発生するノイズを抑制し、高品質な通信を可能にします。
STPケーブル
STPケーブルとは、シールドが施されたUTPケーブルの事で、遮蔽効果によって外部からのノイズに対する耐性が高くなっています。
ノイズが多く発生する工場や研究所など、特殊な環境下で使用される事が多く、UTPケーブルと比較すると普及は限定的です。
STPは、Shielded Twist Pair(シールデッドツイストペア)の略称で、日本語で「シールド撚り対線」と訳されます。
表面に箔や編み込みによる電磁遮蔽シールド処理が施されているので、UTPケーブルより高額になっていますが、より高精度な通信を可能にします。
PoEケーブル
PoEケーブルとは、データの送受信だけでなく、PoE対応機器へ電力を供給するUTPケーブルの事です。
PoEは、Power over Ethernet(パワーオーバーイーサネット)の略称です。
PoEケーブルを使用する事により電源の確保が必要なくなる事から、電力供給が困難な場所に設置されたWebカメラ、スイッチングハブ、無線LANアクセスポイント、IP電話機などに利用されています。
まとめ
LANケーブルの選び方についてご説明させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
ご自宅や職場でお使いになっているLANケーブルは通信環境に合った最適のものでしたか?
高速インターネット回線とハイスペックなパソコンが揃っていても、LANケーブル1本が通信環境に適していないだけで全てが無駄になってしまう可能性があります。
ご自宅でしたら数百円程度、広い職場でも数千円程度で最適なLANケーブルを購入する事が出来ます。
現状の通信速度に不満がある方は、是非一度、LANケーブルに記載されたカテゴリを確認してみてください。