電話番号の継続利用
NTTの固定電話を利用している方はインターネット回線を契約する際に「ひかり電話」への移行を検討する方も多いのではないでしょうか。
しかし、インターネットで情報収集をすると
- アナログ電話しか電話番号の引き継ぎは出来ない
- 電話加入権が無いと電話番号の引き継ぎは出来ない
- NTT発番の電話番号は電話番号の引き継ぎが出来る
等々、様々な情報が錯綜していて、どれが正しいのか判断材料に欠けてしまいます。
ここでは、「NTTの固定電話」から「ひかり電話」、または、「ひかり電話」から「他社ひかり電話」への移行を検討されている方に、電話番号をそのまま使える場合と電話番号が変更になる場合の条件や、注意点などを分かりやすく説明していきます。
「今使っている電話番号が継続利用出来るのか知りたい」という方は、是非とも最後まで目を通して、ひかり電話の移行の際の参考にしてください。
番号ポータビリティとは!?
番号ポータビリティとは、通信事業者や通信サービスを変更しても、電話番号を変更する事なく継続して利用出来る仕組みの事です。
これを聞いただけでは、いまいち理解できない方も多いかと思います。
例えば、ドコモの携帯電話(090-1234-5678)を利用している方が、ドコモの携帯電話を解約して新たにソフトバンクの携帯電話を契約するとします。
この場合
【パターンA】
ドコモの携帯電話(090-1234-5678)を解約して、ソフトバンクで新しい電話番号(080-1234-5678)を契約する
【パターンB】
ドコモの携帯電話(090-1234-5678)を解約して、ソフトバンクで同じ電話番号(090-1234-5678)を引き継いで契約する
ふたつのパターンがあります。
【パターンA】は、単純にドコモの携帯電話を解約して、ソフトバンクの携帯電話を新規契約しただけですが、【パターンB】は電話番号の継続利用の手続きをしてドコモからソフトバンクに乗り換えをしています。
【パターンB】のように、電話番号を変更せずに、通信事業者だけを変更する事を番号ポータビリティと言います。
携帯電話での番号ポータビリティは、MNP(Mobile Number Portability)
固定電話での番号ポータビリティは、LNP(Local Number Portability)
と呼ばれています。
携帯電話の番号ポータビリティは、2006年10月24日から実施され、多額のMNPキャッシュバック、端末代金や月額料金の大幅値引きなどにより浸透していますが、2001年3月から実施されている固定電話の番号ポータビリティは、携帯電話ほど浸透していません。
固定電話と携帯電話の違いや、総契約数の差などもありますが、一番大きな理由は固定電話は双方向の番号ポータビリティが出来ないという問題点がある為です。
携帯電話は、ドコモからソフトバンク、ソフトバンクからドコモ、ドコモからau、auからドコモ、ソフトバンクからau、auからソフトバンク、というように、通信事業者各社間での番号ポータビリティ(MNP)が実現しています。
しかし、固定電話は、条件を満たした状況以外では番号ポータビリティ(LNP)が出来ないのが現状です。
音声系通信サービス
音声系通信サービスは4種類の固定電話と2種類のIP電話に分類されます。
固定電話
- NTT加入電話
- 0ABJ-IP電話
- 直収電話
- CATV電話
IP電話
- 0ABJ番号
- 050番号
2017年12月末の契約数は
- NTT加入電話:2,006万
- 0ABJ-IP電話:3,329万
- 直収電話:168万
- CATV電話:0
- 050-IP電話:875万
となっています。
CATV電話は、CATV事業者が提供する固定電話サービスのうちアナログ回線の事を指しますが、2017年9月に契約数が0件となりました。
0ABJ-IP電話は、固定電話にもIP電話にも属しています。
NTT加入電話
NTT加入電話とは、固定電話の代名詞とも言える、NTT東日本・西日本が提供するサービスです。
NTTの加入電話には4種類のプランがあります。
- 加入電話
- 加入電話・ライトプラン
- INSネット®64
- INSネット®64・ライト
加入電話は、電話・ファックスを利用する為の、アナログ回線の電話サービスです。新規加入の際には、施設設置負担金の支払いが必要になります。
加入電話・ライトプランは、加入電話と利用出来るサービスに違いはありませんが、施設設置負担金の負担が不要です。初期費用がかからない分、月々の利用料金が若干割高になります。権利の譲渡や利用休止が出来ません。
INSネット®64は、電話・ファックスを利用する為の、デジタル回線の電話サービスです。1本で2回線同時に利用出来るので、電話と電話、電話とファックス、電話とインターネットなど自由に組み合わせて同時に使えて便利です。新規加入の際には、施設設置負担金の支払いが必要になります。
INSネット®64・ライトは、INSネット®64と利用出来るサービスに違いはありませんが、施設設置負担金の負担が不要です。初期費用がかからない分、月々の利用料金が若干割高になります。権利の譲渡や利用休止が出来ません。
|
加入電話 |
加入電話ライトプラン |
INSネット®64 |
INSネット®64ライト |
---|---|---|---|---|
施設設置負担金 |
36,000円 |
不要 |
36,000円 |
不要 |
契約料 |
800円 |
800円 |
800円 |
800円 |
基本工事費 |
不要 |
1,000円 |
不要 |
1,000円 |
交換機等工事費 |
不要 |
1,000円 |
不要 |
1,000円 |
住宅用 |
1,700円 |
1,950円 |
2,780円 |
3,030円 |
事務用 |
2,500円 |
2,750円 |
3,530円 |
3,780円 |
施設設置負担金とは、世間一般では「電話加入権」と呼ばれています。
正確には、電話加入権と施設設置負担金は異なりますが、同義として使われています。
本来、電話加入権とは、「加入電話契約者が加入電話契約に基づいて加入電話の提供を受ける権利」の事です。
一方、施設設置負担金は、加入電話等の新規契約の際に支払う料金であり、1897年から始まり何度も改定され、NTT(日本電信電話株式会社)が発足した1985年以降は72,000円、2005年3月に36,000円となりました。
この施設設置負担金は、加入電話等のサービス提供に必要なNTTの交換局ビルから契約者の宅内までの加入者回線の建設費用の一部を、基本料の前払い的な位置付けで負担するものであり、契約者が支払った額を加入者回線設備の建設費用から圧縮することにより、月々の基本料を割安な水準に設定することで契約者に還元しており、解約時等にも返還されません。
1897年から固定電話を契約するのに必要だった電話加入権ですが、市場環境の変化により施設設置負担金が不要なINSネット®64・ライト(1997年7月~)と加入電話・ライトプラン(2002年2月~)が登場し、現在では新規契約のうち大半の方がライトプランを選択しています。
電話加入権以上に呼び名で紛らわしいものがあります。
それは「加入電話」です。
NTTの固定電話を総じて「加入電話」と呼ぶ場合もあれば、NTTの固定電話のプランのうちのひとつ「加入電話」だけを指す場合もあります。
この「加入電話」の紛らわしさが番号ポータビリティの可否の情報錯誤に繋がっています。
情報通信を管轄する総務省が作成する資料などには混乱を避けるために
- NTT東西加入電話の後に注釈で(0ABJ-IP電話を除く。ISDNを含む)と記載
- 固定電話の資料内でNTT東日本・西日本の「加入電話」「ISDN電話」と個別に記載
- 0AB-J番号の資料内でNTT東日本・西日本の「アナログ電話」「ISDN」「IP電話」と個別に記載
する等、配慮がされています。
しかし、通信事業者や番号ポータビリティに関する情報発信サイトなどでは「NTT加入電話」としか記載されておらず、4つのプラン全てを指しているのか、施設設置負担金が必要なプラン名称である「加入電話」を指しているのか判断できない場合が多々あります。
これが原因で、番号ポータビリティはアナログ回線しか出来ない、電話加入権がないと番号ポータビリティが出来ないと言った誤った情報が記載された情報発信サイトが蔓延してしまうのです。
加入電話、加入電話ライトプラン、INSネット®64、INSネット®64ライトを総称して一般加入電話と呼ぶ事もあります。
0ABJ-IP電話
「0ABJ」とは、加入電話に割り当てられる電話番号の形式の事を言います。
加入電話は0で始まり9桁の数字が続きます。
初めの「0」は、国内プレフィックスと呼ばれていて、国内通話である事を示す合図になります。
市外局番は1桁から4桁で、総務省告知により規定されています。
市外局番の1桁目は北から南に行くに従って数字が大きくなっていきます。
01:北海道、北東北
02:南東北、北関東、信越
03:東京23区
04:南関東
05:中京、東海
06:大阪
07:近畿、東海
08:中国、四国
09:九州
市内局番は1桁から4桁で、電話会社ごとに割り振られています。
市外局番と市内局番の桁数は合計5桁ですが、電話番号が沢山必要な地域、人口が多い地域では市内局番の桁数が少なくなっています。
「0ABCDEFGHJ」と表現出来る番号形態を「0ABJ番号」と呼びます。
Hの次がJなのは、I(アイ)と1(イチ)の見分けが付きにくいので、ひとつ飛ばしてJがあてられています。
070、080、090の携帯電話番号は「0A0番号」と呼びます。
0ABJ-IP電話は、加入電話と同じようにIP電話にこの「0ABJ番号」が割り当てられたものです。
光ファイバー網を利用した電話サービス
- NTT東日本・西日本のひかり電話(光IP電話)
- ソフトバンクのホワイト光電話・ケーブルライン
- KDDIのauひかり電話サービス
- アルテリアネットワークスのUCOM光電話
- 中部テレコミュニケーションのコミュファ光電話
- ケイ・オプティコムのeo光電話
- エネルギア・コミュニケーションズのメガ・エッグ光電話
- STNetのピカラ光でんわ
- QTnetのBBIQ光電話
などの世間一般に言う「ひかり電話」がこれにあたります。
直収電話
直収電話とは、NTT東日本・西日本以外の通信事業者が提供している固定電話サービスの事です。
過去には複数の企業が提供していましたが、統合やサービス終了により、現在では
ソフトバンクのおとくライン
のみとなっています。
KDDIのケーブルプラス電話、ジュピターテレコムのJ:COM PHONEプラスを直収電話に分類する場合もありますが、総務省が公表している報道資料『電気通信サービスの契約数及びシェアに関するデータ』の直収電話の契約数に含まれていないので、総務省に倣い0ABJ-IP電話とみなします。
050-IP電話
050-IP電話とは、インターネット網を利用した電話サービスで、「050」から始まる11桁の電話番号です。
2002年10月から割り当てが開始され「050-ABCD-EFGH」という形式になっており、ABCDの4桁が事業者の識別番号、EFGHの4桁が加入者番号となっています。
0ABJ-IP電話は、NTT東日本・西日本、電力系通信事業者、大手通信事業者など自社でインフラ整備をしている企業が提供しています。
一方で、050-IP電話は、主にプロバイダがサービス提供しています。
緊急通報(110番、118番、119番)への発信が出来ません。
番号ポータビリティの条件
音声系通信の種類をざっくりと説明したところで、番号ポータビリティの条件をご紹介させていただきます。
【条件1】
NTT加入電話(加入電話、加入電話・ライトプラン、INSネット®64、INSネット®64・ライト)をお使いの方は、NTT東日本・西日本のひかり電話(光IP電話)、ソフトバンクのホワイト光電話・ケーブルライン、KDDIのauひかり電話サービス、アルテリアネットワークスのUCOM光電話、電力系通信事業者の光電話など、全てのひかり電話(0ABJ-IP電話)に番号ポータビリティ出来ます。
電話加入権の有無やアナログ電話とデジタル電話の違いは一切関係なく、NTT加入電話に於ける4つ全てのプランで番号ポータビリティが可能です。
【条件2】
NTT東日本・西日本のひかり電話(光IP電話)をお使いの方は、光コラボレーション事業者が提供している「ひかり電話」に番号ポータビリティ出来ます。
光コラボレーション事業者が提供している「ひかり電話」は、NTT東日本・西日本が提供している「ひかり電話(光IP電話)」と同じものなので、フレッツ光から光コラボレーションに転用するのと同じように電話番号もそのままで移行出来ます。
【条件3】
NTT加入電話(加入電話、加入電話・ライトプラン、INSネット®64、INSネット®64・ライト)で発番された電話番号は、アナログ戻しをする事により、何度でも、どのひかり電話にでも、番号ポータビリティ出来ます。
例えば、NTT加入電話をお使いの方が、auひかり電話サービスに番号ポータビリティしたとします。
数年後に、auひかりを解約してNURO光に乗り換えるとします。
この場合、「auひかり電話サービス」から「NURO光でんわ」への番号ポータビリティになりますが、直接、番号ポータビリティは出来ません。
それでは、一体どうすればいいのでしょうか。
まず、auひかり電話サービスからNTT加入電話へ契約を戻します。
これを通称「アナログ戻し」または「電話加入権復活」と言います。
その後、NTT加入電話からNURO光でんわへ番号ポータビリティする事により、電話番号を継続利用出来るようになります。
【条件1】から【条件3】に当てはまらない場合は、番号ポータビリティが出来ません。
番号ポータビリティが出来ない例をいくつか挙げてみたいと思います。
【例1】
NTT東日本・西日本のひかり電話(光IP電話)をお使いの方が、auひかりへ乗り換えと同時にauひかり電話サービスへの番号ポータビリティは出来ません。
auひかり電話サービスは、NTT東日本・西日本ではなく、KDDIが提供しているサービスなので、番号ポータビリティが出来ないのです。
【例2】
NTT東日本・西日本のひかり電話(光IP電話)をお使いの方が、光コラボレーション事業者が提供している「ひかり電話」に番号ポータビリティしました。
数年後に、再度、NTT東日本・西日本のひかり電話(光IP電話)に番号ポータビリティは出来ません。
NTT東日本・西日本のひかり電話(光IP電話)から一度でも番号ポータビリティした場合は、同じNTTにも戻る事が出来ません。
同様に、NTT東日本・西日本以外のひかり電話への番号ポータビリティも出来ません。
【例3】
auひかり電話サービスで発番された電話番号をお使いの方が、NURO光でんわへの番号ポータビリティは出来ません。
NTT東日本・西日本のひかり電話(光IP電話)以外のひかり電話で発番された電話番号は、他社ひかり電話、および、NTT加入電話への番号ポータビリティは出来ません。
番号ポータビリティの方法
続いては、番号ポータビリティの方法をご紹介させていただきます。
上でご紹介させて頂いた【条件1】と【条件2】に当てはまります。
契約プランにより手続き内容と番号ポータビリティに伴う費用が異なります。
手続き |
利用休止 |
一時中断 |
解約 |
---|---|---|---|
申込内容 |
電話を再度利用になる場合は電話番号は変更となりますが、最大で10年間電話の権利を預かる事が出来ます。 | 電話を再度利用になる場合も同じ電話番号を利用する事が出来ます。 | 今後電話を利用する予定がない方はこちらを申し込みください。 |
対象回線 |
加入電話 |
加入電話 |
加入電話 |
- |
加入電話・ライトプラン |
加入電話・ライトプラン |
|
INSネット64 |
INSネット64 |
INSネット64 |
|
- |
INSネット64・ライト |
INSネット64・ライト |
|
継続期間 |
NTT東日本 最大10年間 (5年ごとの更新が必要) |
無期限 ※毎月の回線使用料の支払いが必要です。 |
- |
再利用時の同番号利用 |
電話番号が変わります。 |
同じ電話番号を利用出来ます。 |
- |
電話を止める工事費 |
2,000円 |
2,000円~10,000円程度(*1) |
- |
電話を再開する工事費 |
2,000円~10,000円程度(*1) |
2,000円~10,000円程度(*1) |
- |
*1 工事費は、再度取り付けする場所の電話設備の状況等により異なり、契約者宅への訪問が不要の工事(NTT局内工事)の場合は2,000円程度、 契約者宅へ訪問しての工事が必要な場合は、10,000円程度となります。
NTT東日本は、「加入電話」および「INSネット®64」の利用休止による継続期間が最大10年間で5年ごとの更新になります。
最大10年間、更新手続きを行わずに放置した場合は強制解約となり「電話加入権」が消滅してしまいます。
NTT西日本は、利用休止による継続期間は廃止となり、無期限で5年ごとの更新手続きも不要です。
利用休止後は、放置していても半永久的に「電話加入権」は保有されており、手続きを行えばいつでも再開する事が出来ます。
加入電話、INSネット64を利用している場合
NTTの「加入電話」または「INSネット®64」を利用している方が、ひかり電話(0ABJ-IP電話)に番号ポータビリティすると、NTTの電話回線は利用休止となります。
利用休止の手続きは、ひかり電話を提供している通信事業者が代行してくれるので、自分でNTTに対して何らかの手続きを行う必要はありません。
利用休止の工事費として、NTTから2,000円が請求されます。
利用休止後、NTT東日本は5年ごとに更新手続きが必要となります。更新手続きは、5年ごとにNTTから送付されるハガキを利用するか、局番なしの「116」に電話で行います。
NTT西日本は、更新手続きが必要ありません。
ひかり電話を解約し、元のNTTの電話回線に戻す場合は、利用休止した電話加入権を復活させる事で、再度利用出来るようになります。
加入電話・ライトプラン、INSネット64ライトを利用している場合
NTTの「加入電話・ライトプラン」または「INSネット®64ライト」を利用している方が、ひかり電話(0ABJ-IP電話)に番号ポータビリティすると、NTTの電話回線は解約となります。
解約の手続きは、ひかり電話を提供している通信事業者が代行してくれるので、自分でNTTに対して何らかの手続きを行う必要はありません。
解約に際して、NTTから工事費などの請求はありません。
NTT東日本・西日本のひかり電話(光IP電話)を利用している場合
NTT東日本・西日本のひかり電話(光IP電話)を利用している方が、光コラボレーション事業者が提供しているひかり電話に番号ポータビリティする場合は、フレッツ光から光コラボレーションと同様に転用扱いとなります。
ひかり電話の転用手続きは、光コラボレーション事業者が代行してくれるので、自分でNTTに対して何らかの手続きを行う必要はありません。
転用に際して、NTTから工事費などの請求はありません。
アナログ戻しを伴う番号ポータビリティ
次は、アナログ戻しを伴う番号ポータビリティの方法をご紹介させていただきます。
上でご紹介させて頂いた【条件3】に当てはまります。
「アナログ戻し」とは、一体何の事なのでしょうか。
NTT加入電話で発番された電話番号は、どの通信事業者が提供している「ひかり電話」へでも番号ポータビリティが出来ます。
「ひかり電話」に番号ポータビリティした後に、別の通信事業者の「ひかり電話」へと、直接、番号ポータビリティする事は基本的には出来ません。
基本的にというのは、一部例外があり、同じ通信事業者で手続きや問い合わせをしても、担当するオペレーターにより手続き方法が異なったり、回答が違ったりして、稀に、直接、番号ポータビリティが出来る事がある為です。
話を戻しますが、直接、番号ポータビリティする事が出来ないのなら、どうすればいいのでしょうか。
ここで、通称「アナログ戻し」と呼ばれている手続きを行います。
加入電話、INSネット64で発番された電話番号の場合
「加入電話」および「INSネット®64」で発番された電話番号の場合は、「電話加入権」を保有しており、NTTの電話回線は利用休止になっています。
そこで、電話回線の再開手続きを行い、「電話加入権」を復活させます。
電話回線を再開する工事費は2,000円から10,000円程度となります。
NTTの公式ホームページには、再利用時の同番号利用は電話番号が変わる旨の記載がありますが、利用休止の期間中にひかり電話で電話番号を利用していた場合は、同番号を利用出来ます。
「加入電話」または「INSネット®64」にて電話回線を再開させたら、【条件1】に当てはまる為、どの通信事業者が提供している「ひかり電話」でも番号ポータビリティ出来るようになります。
加入電話・ライトプラン、INSネット64ライトで発番された電話番号の場合
「加入電話・ライトプラン」および「INSネット®64・ライト」で発番された電話番号の場合は、「電話加入権」を保有しておらず、NTTの電話回線は既に解約になっています。
そこで、新規申し込みにて、NTT加入電話(加入電話、加入電話・ライトプラン、INSネット®64、INSネット®64・ライト)のいずれかと契約します。
申し込みの際に、「加入電話・ライトプラン」または「INSネット®64・ライト」で発番された電話番号を所有している旨を伝えると、同番号を利用出来ます。
特別な理由がない限りは初期費用と月額料金の観点から、一番安い「加入電話・ライトプラン」がおすすめです。
NTT加入電話にて電話番号を引き継いで契約したら、【条件1】に当てはまる為、どの通信事業者が提供している「ひかり電話」でも番号ポータビリティ出来るようになります。
アナログ戻しの由来
アナログ戻しは、正式名称ではありません。
「ひかり電話」から他社「ひかり電話」へは、直接、番号ポータビリティが出来ない為、一時的にNTTの電話回線に契約を戻す事を通称「アナログ戻し」と呼びます。
では、何故「アナログ戻し」と呼ぶのでしょうか。
INSネット®64 (1988年4月~)
INSネット®64・ライト(1997年7月~)
加入電話・ライトプラン(2002年2月~)
が登場するまでは、アナログ回線で電話加入権付きの「加入電話」しかプランがありませんでした。
NTTの固定電話からひかり電話への番号ポータビリティも「加入電話」からの移行が最も多く、結果として、「ひかり電話」から他社「ひかり電話」へ直接、番号ポータビリティが出来ない場合に、電話加入権を復活させて一時的にアナログ回線に戻すという手法が広まりました。
また、電話加入権を保有しない「加入電話・ライトプラン」または「INSネット®64・ライト」で発番した電話番号で「ひかり電話」から他社「ひかり電話」へ直接、番号ポータビリティが出来ない場合に、最も安い「加入電話・ライトプラン」に新規申し込みして一時的にアナログ回線にする方が多くいました。
ふたつの理由から、「電話加入権の復活」ではなく、「アナログ戻し」という呼び名で浸透しました。
アナログ戻しの費用
アナログ戻しで一時的にNTTの電話回線を契約する際に、利用休止している加入電話、INSネット®64を復活させる場合、新規申し込みでNTT加入電話(加入電話、加入電話・ライトプラン、INSネット®64、INSネット®64・ライト)を契約する場合、初期費用はいくらかかるのでしょうか。
区分 |
加入電話、加入電話・ライトプラン、INSネット64、INSネット64・ライト |
|
---|---|---|
基本工事費(A) |
派遣工事なし:1,000円 派遣工事あり:4,500円 |
|
交換機等工事費(B) |
1,000円 |
|
屋内配線工事費(C) |
既設の屋内配線を利用した工事:2,400円 新規に屋内配線を設置する工事:4,800円 |
|
機器工事費(D) |
利用する機器により異なります。 |
加入電話、INSネット64を復活させる場合
既設の屋内配線を利用し、派遣工事なしであれば
基本工事費1,000円+交換機等工事費1,000円=2,000円
になります。
新規に屋内配線を設置し、派遣工事ありであれば
基本工事費4,500円+交換機等工事費1,000円+屋内配線工事費4,800円=10,300円
になります。
過去に使用していた加入電話、または、INSネット®64の屋内配線が残っていれば2,000円で済みます。
加入電話、INSネット64を新規申し込みする場合
既設の屋内配線を利用し、派遣工事なしであれば
施設設置負担金36,000円+契約料800円=36,800円
になります。
新規に屋内配線を設置し、派遣工事ありであれば
施設設置負担金36,000円+契約料800円+基本工事費4,500円+交換機等工事費1,000円+屋内配線工事費4,800円=47,100円
になります。
加入電話・ライトプラン、INSネット64・ライトを新規申し込みする場合
既設の屋内配線を利用し、派遣工事なしであれば
契約料800円+基本工事費1,000円+交換機等工事費1,000円=2,800円
になります。
新規に屋内配線を設置し、派遣工事ありであれば
契約料800円+基本工事費4,500円+交換機等工事費1,000円+屋内配線工事費4,800円=11,100円
になります。
持ち家でも賃貸住宅でも、多くの物件は電話回線が配線されており、基本的には派遣工事なしで既設の屋内配線を利用します。
2025年以降に双方向番号ポータビリティが実現!?
固定電話(加入電話、INSネット)の需要の減少と公衆交換電話網(PSTN)の中継交換機・信号交換機の維持限界を2025年頃に迎える事から、2024年1月以降に固定電話(加入電話、INSネット)の設備切り替えが決定しました。
現在、アナログ回線として提供されている加入電話、および、デジタル回線として提供されているINSネットが、IP網(光回線)で提供されるようになります。
手続きや回線工事、機器の変更は不要で、切り替え後も一部サービスを除いて、今まで通り利用出来ます。
NTT東日本・西日本
2017年10月17日の報道発表資料
『固定電話のIP網への移行後のサービス及び移行スケジュールについて』
固定電話のIP網への移行が完了する2025年以降には、今まではNTT加入電話で発番した電話番号、および、NTT東日本・西日本のひかり電話(光IP電話)から光コラボレーション事業者が提供している「ひかり電話」への転用でしか番号ポータビリティ(LNP)が出来ませんでしたが、携帯電話と同様に、双方向での番号ポータビリティが出来るようになるように検討がなされています。
6年以上先の話になってしまいますが、今後の展開に期待したいところです。
総務省
2017年5月19日の配布資料
『双方向番号ポータビリティについて』