NURO光!下り最大2Gbpsのテクノロジー

NURO光は、下り最大2Gbpsの超高速回線で人気を集めています。

 

NTT東日本・西日本が提供するフレッツ光やKDDIが提供するauひかり(10ギガ・5ギガを除く)が、最大1Gbpsの通信速度なのに対して、NURO光は2倍の通信速度を実現しています。

 

それだけでなく、NURO光は、月額基本料金も他の通信事業者が提供している光回線と同等、もしくは、安い料金設定になっています。

 

なぜ、NURO光は、高速で低価格な光回線が提供できるのでしょうか?

PON技術は必要不可欠

電話回線を利用するISDNやADSLに対して、光ファイバーを用いた光回線は高額でコストがかかります。

 

そこで、コストを削減するために「PON」という技術が採用されました。

 

PONとは、「Passive Optical Network」の略称で、光ファイバー網の途中に分岐装置(光スプリッタ)を設置し、1本の光ファイバーを複数のユーザー宅で共有する技術です。

 

PON技術を使用せず、通信事業者の通信局とユーザー宅を1対1で接続する「シングルスター方式」の場合、運用コストが大幅に向上し、高額な月額基本料金に設定しないとサービスが維持出来ず、個人で加入出来るようなサービスでは無くなってしまいます。

 

一方で、PON技術を採用し、通信局とユーザー宅を繋ぐ光ファイバーの途中に光スプリッタを設けて伝送路を2~32本に分岐して1対多数で接続する「シェアドアクセス方式」の場合は、運用コストが大幅に低下し、月額基本料金を抑えることが出来ます。

 

 

光スプリッタとは、1つの光信号を2つ以上の出力に分岐したり、2つ以上の光入力信号を1つの出力に結合したりすることができる分岐装置です。電源が不要で、小型であるため設置場所の制約が緩和されます。

 

PON技術の採用は、光回線の月額基本料金を抑えるうえで必要不可欠な存在ですが、技術規格上の通信速度が出ない理由にも繋がっています。

 

1本の光ファイバーを複数のユーザー宅で共有する事により、同時に接続する可能性が高くなる土日祝日や夜間は、インターネットの通信速度の低下は避けられません。

一般的な光回線はGE-PON

PONには、いくつか種類がありますが、現在主流になっているのがGE-PON(Gigabit Ethernet-Passive Optical Network)という技術です。

 

最大通信速度1Gbpsであるフレッツ光、ドコモ光、ソフトバンク光などのNTT系の光回線や、auひかりが採用しています。

 

GE-PONとは、2004年6月に米国電気電子学会で「IEEE 802.3ah」規格として標準化された技術で、PON技術とギガビットイーサネット技術を融合させ、通信事業者の通信局に設置される光回線終端装置(OLT)からユーザー宅に設置される光回線終端装置(ONU)までの「アクセス区間」を規格上「最大1.25Gbps」という通信速度を実現させる事が出来ました。

 

従来の光アクセス技術では、「アクセス区間」にATM(非同期転送モード)を用いていたため、変換にかかる負荷や処理時間などで速度が100Mbpsに制限されていました。

 

GE-PONでは、従来LANで使われてきたイーサネット技術を応用し、「アクセス区間」でイーサネットフレームをそのまま送受信させる事により双方向1Gbpsでサービス提供されています。

 

「最大1.25Gbps」という通信速度はOLT(Optical Line Terminal)からONU(Optical Network Unit)へ提供する通信速度の事で、実際には光スプリッタで最大32本に分岐される為、理論上は1.25Gbps÷32≒39Mbps以上の通信速度を確保出来るという事になります。

 

NURO光はG-PON

NURO光は、国際標準規格であるG-PON(Gigabit Passive Optical Network)を採用しています。

 

G-PONとは、ITU-T(国際電気通信連合電気通信標準化部門)が2001年から策定を始めていた「B-PON」の後継規格で、2003年から2004年にかけて 「G.984.1/2/3/4」として標準化されました。

 

B-PONのATMフレームとGE-PONのイーサネットフレームを応用し、「GTC(G-PON Transmission Convergence)フレーム」と呼ばれる固定長フレームで送受信させる事により、規格上「上り最大1.244Gbps/下り最大2.488Gbps」という通信速度を可能にしました。

 

一般的光回線で採用されているGE-PONと同様に、NURO光のG-PONでも光スプリッタで分岐し「最大2.488Gbps」を複数のユーザー宅で共有する事になります。

 

しかしながら、NTT系が最大32世帯で1本の光回線を共有しているのに対して、NURO光では最大16世帯で1本の光回線を共有しています。

 

フレッツ光、ドコモ光、ソフトバンク光などのNTT系の光回線より契約者数が少ないうえに、通信速度が2倍になり、共有世帯数が2分の1になった事により、光回線の共有による通信速度低下の影響を受けにくく、NURO光では安定した高速通信で提供されています。

 

他社がGE-PONを採用する理由

GE-PONが「下り最大1.25Gbps」に対して、G-PONは「下り最大2.488Gbps」と2倍の通信速度があるにもかかわらず、国内ではGE-PONの採用が大部分を占めています。

 

何故、GE-PONばかりが採用され、G-PONは採用されないのでしょうか?

 

GE-PONは、LANで使われているイーサネット技術を応用している為、イーサネット部品が流用可能な事から、機器のコスト削減に繋がり、設備投資が安く済みます。

 

また、ネットワークシステムの構築もシンプルに設計する事ができ、通信事業者は積極的に採用しました。

 

一方で、NURO光が採用しているG-PONですが、国際標準規格でありグローバルで見れば普及している技術の為、機器は低価格で調達出来ます。

 

しかし、採用を躊躇するのは技術的な問題です。

 

G-PONと比較して通信速度が向上している分、技術的に複雑になっています。

 

結果として、ネットワークシステムの設計も複雑化し、開発期間や開発コストが高くなってしまうのです。

 

その為、G-PONは通信速度が向上するメリットはありますが、デメリットが少ないGE-PONを採用する通信事業者が多くなります。

ダークファイバーでコスト削減

G-PON規格を採用し、海外から低価格で機器を調達しても、自社で光ファイバーを敷設するとなると膨大な資金が必要になり、低価格でサービス提供は出来なくなります。

 

そこで注目したのがNTT東日本・西日本が所有するダークファイバーです。

 

光ファイバーは、許認可の取得も含め敷設に伴うコストが高く、敷設に時間もかかるため、将来的な需要も見込んで、当座の需要よりも多くの光ファイバーを敷設します。

 

ここで、需要を超過して未使用状態にある光ファイバーの事を、光信号が疎通していない状態「ダーク(暗い)」に由来し、ダークファイバーと言います。

 

かつては電気通信事業者が一般企業にダークファイバーを貸し出すことは認められていませんでしたが、2001年にNTT東日本・西日本に対するダークファイバーの開放義務付け制度が施行されたことに伴い、電気通信事業者が一般企業にダークファイバーの芯線貸しサービスを開始しました。

 

全国に敷設されている光ファイバーのうち稼働しているのは3~4割程度と言われています。その為、NTT東日本・西日本からのリース料金も圧倒的に安く、大幅にコストが削減出来るのです。

まとめ

NURO光は、国際標準規格であるG-PON技術の採用により下り最大2Gbpsの超高速回線、ダークファイバーの利用により低価格な光回線が提供できています。