ダークファイバーって何!?

ダークファイバーとは、電気通信事業者や鉄道事業者、電力会社などが敷設した光ファイバーのうち、未使用の芯線のことで、光信号が疎通していない状態「ダーク(暗い)」に由来します。

 

光ファイバーは、許認可の取得も含め敷設に伴うコストが高く、敷設に時間もかかるため、敷設事業者は将来的な需要も見込んで、当座の需要よりも大きな容量を確保して光ファイバーを敷設します。

 

ここで、需要を超過して未使用状態にある光ファイバーがダークファイバーに相当します。

 

ダークファイバーと逆の概念で使用中の光ファイバーをライトファイバーと呼ぶことがあります。

 

かつては電気通信事業者が一般企業にダークファイバーを貸し出すことは認められていませんでしたが、2001年にNTT東日本・西日本に対するダークファイバーの開放義務付け制度が施行されたことに伴い、電気通信事業者が一般企業にダークファイバーの芯線貸しサービスを開始しました。

 

ダークファイバーの賃借は、ファイバー単位の「芯線(心線)貸し」で行われます。

光ファイバーの芯線貸しサービス

都道府県ごとに50%超のシェアを占める光ファイバーを保有し、電気通信事業法により第一種指定電気通信設備として指定され、光ファイバーの解放義務を課されているのはNTT東日本・西日本だけですが、未使用の芯線であるダークファイバーを保有している国・地方公共団体、電力会社、鉄道会社なども、光ファイバーの芯線貸しサービスを提供しています。

 

NTT東日本・西日本などの電気通信事業者が光ファイバーを保有しているのはお分かり頂けると思いますが、国や地方公共団体、その他の事業者が光ファイバーを保有していると言われてもイメージが沸かない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

国が保有している光ファイバーは、主に道路(国道)・河川(一級河川沿い)といった公共施設管理用になります。

 

国土交通省の地方整備局が整備・保有しており、電気通信事業者、ケーブルテレビ事業者、国、地方公共団体に開放しています。

 

国土交通省ホームページ『河川・道路管理用光ファイバーの民間事業者等による利用について

 

地方公共団体

地方公共団体が保有している光ファイバーは、下水道管理用、地方公共団体が運営する地下鉄などの運行管理用、公民館・学校・役場などの公共施設を接続する行政ネットワーク、採算性などの問題から民間事業者による光ファイバー網の整備が見込まれない過疎地域などに於いて通信・放送サービスなど提供用になります。

 

東京都交通局『光ファイバー芯線賃貸事業

 

名古屋市交通局『光ファイバケーブル事業

 

東京都下水道局『光ファイバー利用ガイド

 

電力会社

旧一般電気事業者10社は自社のインフラ整備の為に光ファイバーを保有していますが、地域限定の電力系通信事業者として個人または法人を対象にインターネット回線を提供しているだけでなく、光ファイバーの芯線貸しサービスも行っています。

 

北海道電力『光ファイバ心線貸し

 

東北電力『東北インテリジェント通信

 

東京電力『光ファイバーケーブル心線貸しサービス

 

中部電力『光ファイバ心線貸しサービスの概要

 

北陸電力『光ファイバー心線貸しサービス

 

関西電力『光ファイバー賃貸事業

 

中国電力『エネルギア・コミュニケーションズ

 

四国電力『光ファイバケーブル心線貸し

 

九州電力『光ファイバ心線貸し事業等の移管について

 

沖縄電力『光ファイバケーブル心線利用のご案内

 

鉄道事業者

鉄道事業者は、事業用として、鉄道線路沿いにケーブル管路および光ファイバーを保有しています。

 

通常は光ファイバーの芯線貸しが行われますが、鉄道事業者は他社に貸し出せる余裕がなく、ケーブル管路の空間のみを貸し出し、光ファイバーはケーブル管路を借りた電気通信事業者などが自ら敷設する仕組みを取っている場合もあります。

 

JR東日本『ケーブル管路・光ケーブル芯線の使用について

 

京王電鉄『光ケーブル(ダークファイバ)賃貸について

 

東急電鉄『鉄軌道敷光ファイバー芯線賃貸・専用線サービス

 

京成電鉄『光ケーブル管路及び光ファイバー芯線の賃貸等について

 

東武鉄道『光ファイバケーブル事業

 

北越急行『光ファイバーケーブルの芯線貸出しについて

 

阪神電気鉄道『鉄道施設内の電柱・管路・光ファイバー芯線貸与サービスのご利用について

 

京阪電気鉄道『光ファイバケーブル敷設手続き

ダークファイバーでインターネット回線を提供している通信事業者

ダークファイバーの芯線貸しサービスは、主に、電気通信事業者、ケーブルテレビ事業者、国、地方公共団体を対象に行われています。

 

多くの通信事業者は、自社または親会社が敷設した光ファイバーを使用してインターネット回線を提供するか、光コラボレーションのようにインターネット回線の卸売を受けた通信事業者が、独自サービスを付加してサービスを提供しています。

 

どちらにも当て嵌まらない、光ファイバーは他社が敷設したダークファイバーを借用し、回線設備の開設・運用、ネットワークシステムの構築は自社で行い、インターネット回線を提供している代表的な通信事業者が2社あります。

 

ソニーネットワークコミュニケーションズ

1社目は、世界のSONYのグループ企業である、ソニーネットワークコミュニケーションズが提供しているNURO光です。

 

『世界最速!NURO光』のキャッチコピーで一躍有名になりました。

 

速くて、安くて、高品質と、三拍子揃った、おすすめ度No.1のインターネット回線です。

 

NURO光は、NTT東日本・西日本が敷設したダークファイバーを借用しています。

 

 

 

KDDI

2社目は、日本が誇る大手通信事業者である、KDDIが提供しているauひかりです。

 

auひかりは、NURO光とは少し異なり、2種類のインターネット回線を併用して提供されています。

 

東京都、神奈川県北東部、埼玉県南部、千葉県北西部では、2007年1月1日をもってKDDIに統合されたTEPCOひかり事業の光ファイバー網を東京電力から借用しています。

 

東京電力の管轄地域(旧TEPCOひかりの提供エリア)以外の地域では、NTT東日本・西日本が敷設したダークファイバーを借用しています。

 

 

 

ダークファイバーを借用して、サービスを提供する事のメリットは多数ありますが、目に見える最大の魅力は通信速度になります。

 

自社で回線設備の開設・運用、ネットワークシステムの構築を行う事により、一般的な回線設備の概念にとらわれることなく設計が出来るので、最新の設備や技術を惜しみなく投入する事が出来ます。

 

その結果、ダークファイバーを借用してサービスを提供している2社の通信速度は、他社インターネット回線の通信速度を凌駕しています。

 

他社インターネット回線は上り下り最大1Gbpsの通信速度が一般的ですが、2018年1月付けOvum調査報告に基づく個人宅向けFTTHサービス市場の世界最速1位タイである上り下り最大10Gbps、ソニーネットワークコミュニケーションズからは「NURO光10Gs」、KDDIからは「auひかり10ギガ」が提供されています。

 

ダークファイバーは、あくまでも光ファイバーの芯線貸しサービスなので、回線設備の開設・運用、ネットワークシステムの構築といった初期投資や保守・管理の手間がかかるというデメリットはあります。

 

しかし、将来的にはコストが大幅に下げられるだけでなく、インターネット回線で重要視される通信速度の面において他社を圧倒できるというメリットの方が大幅に上回るのです。

まとめ

ダークファイバーとは、余剰に敷設されて未使用の光ファイバーの事になります。

 

ダークファイバーの芯線貸しサービスが行われていますが、電気通信事業者、ケーブルテレビ事業者、国、地方公共団体が主な対象となっているので、個人で借用するのは難しいです。

 

ただし、ダークファイバーを利用してサービス提供している通信事業者があり、代表的ともいえるのが通信速度に定評があるNURO光とauひかりになります。

 

一般的なインターネット回線は夕方から夜間にかけた混雑時間帯は通信速度が大幅に低下する事も珍しくありませんが、ダークファイバーを利用しているNURO光とauひかりは、混雑時間帯にも快適な通信速度でインターネットが利用出来るのでおすすめです。